
金融商品をつくるのもパソコンを組み立てるのも基本的な原理は同じ

まずは、例え話から始めましょう。
あなたは、自分でパソコンを組み立ててみたことがありますか。
「そんな難しいことはできるわけない」と感じている方も多いと思いますが、実はパソコンを組みたてるのは驚くほど簡単です。私たちが「パソコン」と呼んでいる機能のほとんどは「マザーボード」と呼ばれる部品の賜です。マザーボードというのは「基盤」であり、要するに複雑な配線が焼き付けてある板ですが、ここに必要な部品をはめていくだけでパソコンは完成します。
必要な備品でもっとも重要なのがCPUと呼ばれる物でこれが人間で言う「脳+心臓」にあたります。それ以外には、ソフトやデータを格納しておくハードディスクが必要ですし、モニター画面に情報を映し出すための部品や、インターネットをするための部品などもありますが、基本的には部品を組み立てていくだけです。慣れれば1時間もたたずに組み立てられるはずです。
デリバディブを駆使した金融商品の作り方も、これに似ている部分があります。知らない人からすると、どんなに難しいことをやっているのか想像もつかないという部分があると思いますが、実際にやっていることは、どのような機能を持っているかわかっている部品を適当に組み合わせているだけなのです。
つまり、金融商品を作る側の人も、各部品の本質的な意味というか、各部品そのものをつくれるわけではなく、深い理屈をわかってやっているわけではないという点で、パソコンの組み立てと同じです。パソコンを組み立てている人でも、各部品自体を作ることはできないでしょうし、また、その部品がどのような理屈で必要な機能を満たしているかもしらないでしょう。どの部品がどんな機能を果たすかだけわかっていれば、実用上は十分なのです。
そして、金利スワップや通貨スワップ、プット・オプション、コール・オプションと呼ばれる金融デリバティブは、パソコンの部品に相当するものです。
ただし、デリバティブはあくまでもデリバティブであって、それだけを単独で個人投資家が扱うことは、あまり多くありません。個人投資家が購入する金融商品、特に「債券」にデリバティブが組み込まれて、投資家の元に送り込まれるわけです。
国債の利回りが2%のとき、1.5%の債券を売りさばくには
ところで、債券は要するに借用証書であり、世の中にそんなにいつもお金を借りたい人がいるのかという疑問がわくかもしれません。しかし、実際のところは適切な使い道さえあればお金をいくらでも借りるという人たちは、世の中には結構いたりするものです。
たとえば、銀行というビジネスを考えると、この人たちはいくらお金があっても困ることはありません。なぜなら、借りたお金はそれよりも高い利息を払ってくれる人に貸せばいいだけだからです。逆に言えばある利息であればお金を借りる人がいることをある銀行が知っていれば、その銀行はそれより低い利息であればいくらでもお金を借りようとするでしょう。
このような行動様式は、銀行にかぎったことではありません。たとえば、日本の国債を10年間保有すると年率2%の利息がもらえるとき、支払う利息が年率1.5%という10年間の借金ができれば、国から2%の利息をもらいながら、1.5%の利息しか払わない、つまり何もしなくても毎年0.5%の利益があげられます。
でも、勘の方ならお気づきでしょうが、日本の国債が2%のときにわざわざ1.5%でカネを貸す「まともな」人はいないはずです。
ではどうやったら、国債利回りが2%のときに、1.5%でお金を借りられる、あるいは利回り1.5%の債券を発行できるのでしょうか。
答えは簡単です。「発行体からすると利息支払いは1.5%である一方、投資家(=購入者)からすると、魅力的に見える」債券をつくればいいのです。

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